視覚障がい者歩行サポートシステム(WM)Walk&Mobile

Walk&Mobileは、白杖と点字ブロックを使った歩行サポートシステムです。
点字ブロックに情報を付加して利用するシステムで、歩行時のみならず日常の様々なシーンにおいて、使用者により多くの支援情報を提供することを目的としています。

白杖システム

プロジェクトの背景

2年ほど前に日本が批准し、国連が承認した障害者権利条約の根本的な考えかたに”障害は個人ではなく社会にある”というものがあります。 社会の中に障害があるとすれば、私たちはその障害を少しずつでも克服していかなければならないと考えます。

本システムはその普及により、視覚障がい者がより多くの場所に、同伴者なしで自由に移動できる社会環境を作ることを目指しています(アクセシビリティの向上)。また、多くの視覚障がい者が街に繰り出すことにより、健常者の視覚障害に対する認知を促し、障がい者のQOL向上と住みやすいまちづくりを目指します。

将来的には安価で誰でも使える歩行サポートシステムを世界的に広めることを目的とし、また、視覚障がい者だけでなく他の障がい者や高齢者の移動支援にも応用していきたいと考えています。(W&M 千葉)


はじめに-視覚障がい者の歩行支援

視覚障がい者の移動支援技術には長い歴史があり、様々なものが提案されています。
特定の場所での音声案内スピーカーの設置や、ICタグなどのセンサーを使った歩行案内システム、GPSを使ったシステムの検討など、多岐にわたります。ただ、導入コストや使い勝手の問題でその多くはあまり普及せずにきています。

点字ブロックはそれらの中で稀有な存在で、現在、最も普及しているシステムです。
歩道、信号手前、階段付近、エレベータ、バス停留所、駅の構内やホームなど、多くの場所に設置されています。 点字ブロックは元々、日本発の視覚障がい者向けのサインです。岡山県からはじめられた導入は今、日本だけでなく世界の様々な国々にも広がっています。

点字ブロックには2種類の形状があります。
ひとつは誘導ブロック(縦長の長方形突起を配置したもので、歩行する上でのガイドとなる) もうひとつは警告ブロック(丸い突起を配置してあり、何らかの警告・注意を促すためのもの)です。

点字ブロック
点字ブロックから得られる情報は基本的にはたった二つです。2種類の形状を足裏の感触や白杖で感知し、安全に歩行できる(誘導ブロック)か、注意しなければならない(警告ブロック)か、を判断します。(配置の仕方によって特定の情報を表すこともあります)

横断歩道や分岐点、階段やエスカレータなどの手前には警告ブロックが設置されていますが、現状では、そのブロックだけからでは警告の具体的な内容は判断できないのです。

既に広く普及している点字ブロックをもっと有効に活用できないだろうかと考え、生み出したのが、白杖と点字ブロックを使った本歩行サポートシステムです。点字ブロックに情報を付加して利用するシステムで、歩行時のみならず日常の様々なシーンにおいて、使用者により多くの支援情報を提供することを目的としています。


視覚障がい者歩行サポートシステム(WM)の概要

WMは非常に簡単な構成でできています。
(1)特殊なコードを印刷した点字ブロック、もしくは印刷したコードフィルムを点字ブロックに貼り付けたもの
(2)コードを読み取るリーダーとスピーカーを内蔵した音声白杖
※それぞれ実用新案登録済

音声白杖の仕組み

警告ブロックの設置位置状況に応じて、きめ細かな音声案内を作成できます。

例えば、
「下り階段です」
「交差点です、左2メートルの電信柱に歩行者用押釦スイッチがあります」
「上り階段です、左2メートルに上りエスカレータがあります」
「分岐点です、左は○○方向、右は△△方向です」
「○○方面行バス乗り場は10メートル先です。△△行バス乗り場は20メートル先です」


イメージとしては、バーコードを点字ブロックに貼り付けて、それをバーコードリーダーで読み込むのと同じですが、 視覚障がい者にとっては、貼り付けたバーコードがどこにあるか判断するのは容易ではありません。

WMではこの問題を、極小のコード(2ミリ角)を点字ブロック全面に印刷することで解決し、音声白杖の先端部分をブロックのどの位置にタッチしても、コードが読み取れるようになっています。

また、非常に優れた機能として、ブロック上のコードの方向性を検知できます。音声白杖の正面側を向けてタッチした場合と裏側を向けてタッチした場合で、それぞれ別々の音声案内を登録できます。

●分岐点で 音声白杖 ●階段で 音声白杖


システム概要図

音声案内システム概要図

1:点字ブロック
コードを直接印刷した点字ブロック
コードを印刷したシールを貼り付けた点字ブロック
その他 コードを貼り付けたあらゆるもの

2:読み取り
音声白杖先端部のセンサーでコードを読み取ります

3:登録データ参照
コードに対応した音声データを予め登録しておき、読み取ったコードに対応する音声データを検索します

4:通知
音声白杖の手元部分にあるスピーカーから音声データ通知をします (イヤホン機能装備)

5:データ登録・ダウンロード機能
コードに対応する音声を登録します
登録したデータを白杖コントロール部にダウンロードします


メリット ・WMは既存の点字ブロックをそのまま使用しつつ、必要な場所のブロックのみの導入で構築できるため、コスト的に非常にすぐれています。
・メンテナンスも容易で、ブロックを張り替えずに案内情報の変更修正ができます。
・コードの一元管理で重複するコードをなくすことにより、導入する範囲を順次広げていくことも容易です。
利用 基本的な用途
・屋外点字ブロックが敷設されている場所:横断歩道、信号、信号押釦の案内、階段(上り下り)、分かれ道、公園内の案内、バス停留所、建物の名称、住所、などの案内
・屋内施設の点字ブロック:階段、エスカレータ、エレベータ、トイレ、トイレ内配置、駅構内の案内、駅ホーム乗車口
施設内の案内
・点字案内盤など
ハードウエア構成 1:音声白杖
2:点字ブロック(コード付き)
3:コード管理用PC
4:メンテナンス用音声ペン
ソフトウエア構成 1:音声白杖
 コード読み取り・検索・音声再生
 音声データ取り込み(ダウンロード)
2:コード管理
 音声案内作成
 設置位置にどの案内をするのかを作成
 コード登録・修正・削除
 ブロックにコード割り付け
導入 1:既存の点字ブロックルート上で、案内が必要となる位置のブロックをコード付きブロックに交換する
2:特異的に案内が必要な場所にコード付きブロックを敷設する
トイレ内の配置案内や施設の全体案内、バスの乗り場の案内など


●進捗状況 160729-13
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